育休取得後に退職は可能なのか?退職時期を決めるポイントについて解説

育休取得後に退職は可能なのか?退職時期を決めるポイントについて解説

出産後の子育てに必要となる休暇制度として、育児休業制度があります。
今回は、育児休業制度について疑問の声があがることが多い、退職時期との関係について解説していきます。
育児休業の制度の理解と退職時期の決め方について理解していきましょう。

育休後すぐに退職することは可能?

育休後すぐに退職することは、違法ではありません。
しかし、育休後の退職については、注意しておくべき点があります。

育休後の退職時期を決める前に理解しておきたいポイントについてご紹介していきます。

本来育休は復職を前提に取得するもの

育休の取得は、その後の職場復帰を前提とした制度です。そのため、育休中の収入面を支援するために給付制度があるのです。
育休を取得する条件は、以下の通りとなっています。

  • 子どもの1歳の誕生日以降も、勤務を継続する意思があること
  • 子どもが1歳6ヶ月までに契約期間の満了や契約が更新されないことが明らかでないこと

このように、育休取得の前提は、継続して働く方が受給される制度となっていることを念頭においておきましょう。

育休取得後におよそ10%の女性が退職をしている

育休の取得は、職場復帰することが前提となっていますが、実際には諸事情により育休取得後に退職をしている人もいます。
平成30年度雇用均等基本調査の結果では、育休取得後に退職した女性は約10%になります。
職場復帰を考えていたとしても、実際には、出産・育児を機に退職にいたるケースは多いようです。

 参考: 平成30年度雇用均等基本調査|厚生労働省 

育休取得後に退職を検討せざるを得ない主な理由

次に、育休取得に退職を検討しなければならなくなる理由についても見ていきましょう。
理由が分かれば、育休中の備えや対応の参考にすることも可能です。

入園できる保育園が見つからず預け先がない

出産後には、慣れない子育てで大変ですが、同時に職場復帰に向けて保活を行い、子どもの預け先を探すことになります。

しかし、全ての人が希望する施設に預けることができるとは限りません。また、各家庭の事情により子育てを手伝ってもらえる人が身近にいない場合もあります。

育休は適用条件を満たすことで、1歳半まで、さらに2歳までと段階を追って延長することが可能ですが、預け先を見つけることができないまま退職を考えるケースがあります。

育児と仕事の両立が難しい

子育ては、想像よりも大変なことが多く起こります。そのため、職場復帰後の仕事との両立が難しいと考える場合も想定されます。

勤務形態が交代制やシフト制である場合や、残業の有無などを始め業務が多忙となれば、時間的余裕が少なくなる可能性もあります。
こうした事情により育児と仕事の両立が難しくなってきた場合には、退職を考える可能性があります。

長い通勤時間が大きな負担になってしまう

通勤時間の長さも育児を行う上での負担となるケースがあります。
従来から通勤時間が長い場合は、育児に割く時間にも影響を与える可能性があります。
職場近くの保育園に預けるという方法もありますが、必ずしも希望の園に通えるとは限りません。

仕事量や通勤時間でかかる負担の大きさから、退職を決意する方もいます。

育休後の退職を伝えるタイミングや注意点

次に、育休後に退職を決めた場合のタイミングや注意点についても解説していきます。

就業規則に沿ったタイミングで申し出る

退職の手続きや相談は、就業規則にさだめられた手順やタイミングで申し出る必要があります。
企業によっては、1ヵ月前や2ヵ月前までと決まっています。ただし、早急に退職を決めるよりも、部署の異動や業務量が調整できないか相談を行うことも1つの方法です。

仕事と両立できない場合には、退職手続きを取る前に何が課題であるか、会社に考慮して欲しいことなどを整理し、人事部門や上司に相談してみると良いでしょう。

退職日によっては給付金が受け取れなくなってしまう

注意しておくべき点として、退職日によっては育児休業給付金が受け取れない可能性があります。
育児休業給付金は、育児休業開始日から1ヵ月ごとに区切られた期間ごとに受給することができます。

育児休業中に退職するケースでは、退職日が属する支給期間の一つ前までが支給対象となります。
そのため、退職日により給付対象期間全ての給付金を受給するためには、退職日と支給日の締め切りの関係を整理しておく必要があります。

育休開始時点で復職予定であれば給付金の返金は不要

育休取得中、終了後に退職となった場合であっても、育休開始時点で復職予定である場合には、すでに受給している育児休業給付金の返還義務はありません。
ただし、復職を前提としている育休、育児休業給付金のため、退職を予め想定している場合には受給資格がない点に注意が必要です。

育休中に免除されている社会保険料の支払いが必要になる

産休、育休中は社会保険料が免除される制度が設けられています。
しかし、退職をした場合には、この免除期間は終了し社会保険の支払義務が生じます。育休中に免除されるのは、健康保険料と厚生年金保険料となる点も注意しておきましょう。

退職や転職は保育園入園の指数にも影響する可能性がある

育休中に退職をした場合には、保育園の入園にも影響を与えます。保育園の入園については、各家庭の状況に合わせた点数を元に審査されます。

保育園申し込み時の会社と転職先とで、就労日数や勤務時間が短くなった場合は入園の優先順位が下がる可能性が高いです。
また、転職予定先の就労予定証明書を出した場合は「内定」での選考となり、優先順位が下がる自治体もあります。
>>保活に重要な指数(点数)とは?点数の計算方法や加点方法について解説

転職してしまうことでさらに休みが取りにくくなる可能性もある

転職することで、休みが取りにくくなる点に注意しましょう。
年次有給休暇や、子どもの看護が必要なときに時間単位から取得できる「子の看護休暇」は、勤続6ヵ月以上にならないと付与されない会社がほとんどだからです。転職先の制度を確認しておきましょう。

 退職を決める前に別の選択肢の検討も

退職を決める前には、再度、いくつかの選択を検討してみることも必要です。

家族の協力をお願いできないか再度相談する

育児と仕事の両立のためには、家族の協力は不可欠です。
送り迎えや家事の分担などを再度相談することも必要です。安易に転職を決めるのではなく、どうすれば両立できるかについて、家族でしっかりと相談しましょう。

保育施設を再度検討し預け先を見つける

希望する保育施設に入園できないことが退職の理由になる場合には、他の保育施設やサポートサービス(ベビーシッターやファミリーサポート)の利用などの検討も有効です。
こうした検討は、保活を行う際に広い選択肢を持っておくことがより効果的です。認可保育園以外の保育施設などの情報も積極的に収集することを心掛けておきましょう。

育休の延長が可能か会社で相談する

法律上の育休制度としては、最長2歳まで延長ができます。
しかし、会社独自での施策を講じている場合などもあるため、現状をよく説明し、育休の延長が可能であるかを会社と相談しましょう。

会社の制度が整っていないケースでも、優秀な人材を手放したくない場合もあり、育休の延長を検討してくれるかもしれません。
>>育児休業はいつまで取得できる?延長・短縮の条件や給付金の取扱いを解説

まとめ

今回は、育休取得後の退職をテーマに注意点などをご紹介しています。
育休取得は復職を前提とした場合に取得できる制度ですが、家庭の事情により退職を検討する場合もあります。
そうした際には、早急な判断をせず会社や家族としっかりと相談し納得ができる結論を出していきましょう。

この記事の製作者

えんさがそっ♪編集部

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