病児・病後児保育とは?保育園に行けないときに預けられるサービスを解説
病児・病後児保育は、子どもが病気になって心配だけど、仕事を休めないときのために知っておきたい保育サービスです。
病児・病後児保育の対象となる子どもの年齢、保育場所、事業類型や利用方法、子どもの急病時への対応として考えておくべきポイントについて解説します。
病児・病後児保育とは
保育を必要とする子どもが、病気の際に自宅での保育が困難な場合に、病院・保育園などの施設で一時的に保育をおこなう事業です。
病児保育事業は、2008年から児童福祉法に基づいて、子ども・子育て支援法に位置づけられています。
対象は保育を必要とする乳児・幼児または小学生
乳幼児または小学生が病気のため、集団保育や家庭での保育が困難な場合に対象となります。
ただし、対象年齢は自治体によって違いがあるため、あらかじめ居住地域の自治体で確認しておくとよいでしょう。
病院・診療所や保育園などで一時的に保育看護
保育看護場所は、主に病院・診療所または、保育園に付設された専用スペースです。
基本的に、病児は病院・診療所、病後児は病院・診療所もしくは保育園、より病状の軽い体調不良の乳幼児は看護師が常駐する保育園などの医務室になります。
利用料は1日2,000円
利用料は自治体によって異なりますが、おおむね1日2,000から3,000円に設定されていることが多いようです。
時間帯によって、給食費などの費用が必要になります。ひとり親世帯や市民税非課税世帯、生活保護世帯は無料になるといった減免措置があります。その場合は、あらかじめ担当課での減免申請の手続きが必要です。
5つの事業類型がある
病児保育事業の事業類型は、以下の5つに分けられます。
- 病児対応型
- 病後児対応型
- 体調不良対応型
- 非施設型(訪問型)
- 送迎対応
5つの事業類型の主な概要は、下表の通りです。
サービス内容 | 対象 | |
---|---|---|
病児対応型 | 病院・診療所、保育園などの専用スペースで一時的に保育する | 子どもが病気の回復期にいたっていない場合、保護者が勤務などの都合で家庭での保育が難しい子ども |
病後児対応型 | 子どもが病気の回復期にあり、保護者が勤務などの都合で家庭での保育が難しい子ども | |
体調不良対応型 | 医務室が設けられている保育園、認定こども園、小規模保育事業所、事業所内保育事業所などで保育する | 保育中の体調不良の子ども |
非施設型(訪問型) | 対象となる子どもの自宅 保護者が家庭での保育を行うことができない期間内で訪問を行う | 病児対応型および病後児対応型対象の子ども |
送迎対応 | 原則タクシーでの送迎 保育園から、かかりつけ医に受診後、病院・診療所、保育園などの対応施設へ送り届ける | 病児対応型および病後児対応型対象の子ども |
病児対応型
かかりつけ医や受診した病院において、急変のおそれがなく、入院の必要がないと判断されることが条件になります。
病後児対応型
急性期や感染力が強い時期を経過し、かかりつけ医や受診した病院において、病状が再び悪化することがないと判断されることが条件になります。
体調不良児対応型
食欲不振、微熱、元気がないなどの子どもに対する緊急的な対応として、保護者が迎えに来るまでの間、看護師が対応します。
非施設型(訪問型)
子どもの病気が「回復期にいたっていない場合」、もしくは「回復期」にあり、病児・病後児保育施設に預けるのではなく、看護師などが自宅へ訪問して、一時的に保育看護を行います。
送迎対応
保育中に体調不良となった子どもを病児保育施設の看護師などが、保育園に迎えに行き、かかりつけ医に受診し、病児保育施設において保育看護を行います。救急搬送の措置ではなく、あくまでも保護者の代わりに行うサービスです。
参考:病児保育事業|内閣府 、病児保育事業の実施について(一部改正)|厚生労働省
自治体の病児・病後児保育を利用する方法
病児・病後児保育の利用方法について解説します。利用方法は、自治体によって決められており、居住地域の自治体での確認が必要です。どのような施設なのか、あらかじめ見学しておくのもよいでしょう。
病後児保育の手続き
一般的な手続きの手順は、以下の通りです。
- 事前登録:各自治体の保育課で、登録申請用紙を提出します。
- 電話予約:病児・病後児保育室へ直接電話します。この段階は、まだ仮予約です。
- 医療機関を受診:かかりつけ医の診察を受けます。病児・病後児保育施設での保育が可能と診断された場合は、医師連絡票が発行され、本予約が可能になります。
- 電話本予約:実施施設に電話し、本予約となります。ただし、本予約になるまでに定員となる場合があります。
- 利用日当日:利用申込書を記入し、利用費を支払います。給食やおやつが必要な場合は、利用料とは別に費用が必要です。
利用費が無償化の対象になることも
認可外保育園に在籍し、かつ保育認定を受けている子どもは、月額 37,000円まで、認可外保育園の利用とあわせて無償で病児保育事業を利用することができます。
病児・病後児保育の持ち物
当日に必要となる持ち物は、以下の通りです。年齢や病状を考慮し、必要な持ち物を揃えておきましょう。あくまでも目安なので、自治体や利用する施設に確認してみてください。
書類関係 | 医師連絡票・保険証・乳児医療証・母子手帳・お薬手帳・診察券・飲み薬など |
子どもの持ち物 | 弁当(アレルギー食や食べ慣れたもの)・飲み物・着替え・バスタオル・ミルク・哺乳瓶・おむつ・スタイ・使用済みオムツや着替えを入れるビニール袋 |
その他の病児・病後児を預けられるサービス
自治体の病児・病後児保育対応施設は、2018年時点で全国に1,711ヶ所しかなく、利用したいときに予約がとれないことが多くなっています。その際には、以下にご紹介する施設利用を検討してみましょう。
ファミリー・サポート・センター
ファミリー・サポート・センターは、会員制の有償ボランティアによる子育ての援助活動です。2009年より病児・緊急対応強化事業として、病児保育を実施しています。
サポート内容は、以下の通りです。
- 病児・病後児の預かり
- 宿泊をともなう預かり
- 早朝・夜間などの緊急の預かり
- 保育施設、自宅、病児・病後児施設への送迎
利用には、会員登録や事前打合せが必要です。利用料は、自治体により異なりますが、平日7:00〜19:00において1時間あたり500円から700円です。
ベビーシッター
病児への対応可能なベビーシッターサービスもあります。企業によって、料金や対応エリアはさまざまですが、0歳から12歳の子どもを対象とするケースがほとんどです。シッターには、子育て経験がある人や保育士、教員、看護師などの資格を持つ専門職もいます。
子どもの急病時への対応として考えておくべきポイント
子どもの急病時への対応として、考えておくべきポイントは、主に以下の3点です。
- 家族の勤務状況と協力体制
- 病児・病後児を預けられるサービスの情報収集
- 職場の看護休暇制度
それぞれのポイントについて解説します。
家族の勤務状況と協力体制
子どもの急な病気やケガの対応について、家族の勤務状況からどのように分担できるのか、協力体制について話し合いましょう。
いざというときのために、病児・病後児を預けられるサービスの利用についても確認しておくと安心です。
病児・病後児を預けられるサービスの情報収集
居住地域の自治体・保育担当課で、病児・病後児保育、サポートセンターについて問い合わせてみましょう。
さらに、企業やNPO法人による病後児保育施設やベビーシッターについても、定員、対象になる子どもの年齢や病気、保育時間、利用料などサービス内容を確認しておくことが大切です。
職場の看護休暇制度
「子の看護休暇制度」は、小学校就学前の子どもをもつ保護者が、子どもの病気やケガの際に休暇を取得する制度です。
子どもの予防接種や健康診断にも利用できます。職場の制度(日数や休暇中の賃金)を確認し、職場の理解を求めておきましょう。
まとめ
子どもが病気のときには、無理をさせないことが大切です。
家族でよく話し合い、無理のない範囲で、病児・病後児を預けられるサービスを上手に利用してみてください。