ファミリーサポートとは?概要や活動事例からメリットまで解説

ファミリーサポートとは?概要や活動事例からメリットまで解説

はずせない仕事がある、急用ができたという時に、子どもの送迎や預かりを頼みたいと思う方が多いでしょう。このような時の助けになるのが、ファミリー・サポートです。
この記事では、ファミリー・サポートとはどのような事業なのか、その概要や活動事例をからみたメリットを解説します。

ファミリー・サポートとは?

ファミリー・サポートは、正式にはファミリー・サポート・センター事業といい、その名の通り家族の支援を意味します。
ここでは、まずファミリー・サポートについてよく知らないという方に向けて、どのような事業なのか解説します。

地域子ども・子育て支援事業のひとつ

ファミリー・サポート・センター事業は、2015年「子ども・子育て支援新制度」の開始にともない、正式名称が「子育て援助活動支援事業」となっています。
ファミリー・サポート・センター事業は、仕事と育児両立支援特別援助事業として1994年に開始され、2015年度から地域子ども・子育て支援制度に位置づけられた事業です。

1994年の開始当初は、仕事をもつ保護者を対象としていましたが、現在では、子どもをもつ全ての家庭が事業の対象となっています。2009年から病児緊急対応強化事業が追加され、子育てに関してさまざまな状況において保護者を支援する事業です。

会員制の有償ボランティアによる子育ての援助活動

子育ての援助を希望する人と援助を行いたい人が会員となって地域で子育てをする、会員制の有償ボランティアによる援助活動です。この事業では、自治体が実施主体となり、社会福祉協議会やNPO法人などに委託し、ファミリーサポートセンターが運営されています。

ファミリーサポートの概要

ここでは、ファミリー・サポートの概要を解説します。ファミリー・サポートの利用を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

なお、依頼する子どもの年齢、基本料金、利用目的については、女性労働協会が実施した「平成30年度全国ファミリー・サポート・センター活動実態調査結果※1」に基づいてご紹介します。

依頼会員と提供会員

ファミリー・サポートには、依頼会員と提供会員があります。また、依頼と提供を兼ねる両方会員もあります。

自治体によって、依頼会員の子どもの年齢、依頼会員の年齢、保育経験など条件は異なりますが、基本的には、以下の通りです。

  • 依頼会員:援助が必要な子どもをもつ保護者
  • 提供会員:子育てで援助がしたい方

提供会員になるための条件は、自治体ごとに決められています。特別な資格はありませんが、子育てに関する知識を学ぶための講習を受けています。
提供会員には、子育てが終わった世代の50〜60代の女性会員が多いことが特徴です。
保育士や教員、看護師などの資格をもった人もいます。
育児経験など子どもに慣れた会員が多いので、安心して預けられるでしょう。

参考:ファミリーサポートセンター| 一般財団法人女性労働協会

対象年齢:依頼する子どもの年齢は3~5歳が多い

対象になる子どもの年齢は、自治体によって違いがありますが、生後3ヶ月から13歳の児童までを対象としていることが多いです。
実際に利用している子どもは、3歳から5歳が最も多く、6歳から8歳、1歳から2歳と続きます※1。園生活では、年少・年中・年長と呼ばれる時期から就学前後が多いようです。

基本料金:1時間あたり500円から700円に設定されている

平日の基本料金は自治体ごとに設定されています。平日であれば、1時間あたり500円から700円※1程度です。
早朝や夜間は、割増料金になります。利用料金の詳細は、居住地域のファミリー・サポート・センターに問い合わせてみてください。

利用目的:送迎のみに利用している人が多い

実際に利用している人が依頼する目的は、以下の通りです※1。

  1. 保育施設までの送迎
  2. 学校の放課後の学習塾や習い事までの送迎
  3. 保育施設の保育開始前や保育終了後の預かり
  4. 放課後児童クラブ開始前後の預かり  

送迎のみに利用する人が多く、地域外の幼稚園、私立小学校へ交通機関を利用して送迎を依頼するケースもあります。送迎は、基本料金のほかに実費になることが多いようですが、自家用車の場合はガソリン代もしくは1回ごとの料金が決められていることもあります。

ファミリー・サポートの利用目的

ファミリー・サポートでは、以下のような目的で利用することができます。

  • 保育園までの送迎
  • 保育園の開始前や終了後の預かり
  • 保護者の病気や急用の場合の預かり
  • 冠婚葬祭の預かり
  • 病児・病後児の預かり
  • 宿泊を伴う預かり
  • 早朝・夜間などの緊急時の預かり

自治体によって、病児・病後児の預かりや早朝・夜間の緊急時、宿泊を伴う預かりを行っていない場合があります。あらかじめ、居住地域にあるファミリー・サポート・センターに確認しておくと安心です。

参考:ファミリーサポートセンター|一般財団法人女性労働協会

利用するためには会員登録が必要

すでにご紹介したように、ファミリー・サポートを利用するためには、まず居住地域にあるファミリー・サポート・センターに会員登録をしなければなりません。

利用方法は次のようになります。

  • 会員登録後に会員説明会
  • 紹介された提供会員と事前打合せ
  • センターに援助を依頼、センターから提供会員に連絡
  • 提供会員による援助活動
  • 援助活動終了後に報酬の支払い

依頼会員になると、すぐにサポートを受けられるわけではありません。毎回、事前打合せが必要です。余裕をもって依頼しましょう。

参考:(※1)平成30年度全国ファミリー・サポート・センター活動実態調査結果|一般財団法人女性労働協会

ファミリー・サポートの活動例

ファミリー・サポートの活動例として、大田区での取組みをご紹介します。2017年4月現在、提供会員数は707人、利用会員数は3,158人です。年々、提供会員・利用会員ともに増えています。

大田区:ファミリー・サポートおおた

活動内容は以下の通りです。

<利用時間>

午前6時から午後10時

<利用日と基本料金>

  • 平日、土日祝日
  • 月曜日から金曜日の午前9時から午後5時は1時間800円
  • 午前9時から午後5時以外の時間帯は、1時間900円
  • 1時間未満の利用は1時間料金
  • 1時間を超える場合は、超えた時間が30分以内は0.5時間、30分を超えると1時間
  • 兄弟姉妹を一緒にみる場合は、2人目以降は半額

<対象の子ども>

生後4ヶ月からおおむね12歳(子どもによっては慣らし保育あり)

<行っていない援助活動>

  • 家事援助や学習指導
  • 病児の送迎を含む保育
  • 宿泊
  • 自家用車での送迎など

<実費になるもの>

交通費・飲食代など提供会員が自己負担した費用

<補償保険>

全会員が保険に加入し、ファミリー・サポートおおたが全額負担

参考:ファミリー・サポートおおた|大田区、活動の手引き|ファミリー・サポートおおた 

ファミリー・サポートのメリット

ファミリー・サポートを利用することでメリットがあります。ここでは、2つのメリットについて解説します。

育児経験者が多い

提供会員は、育児経験のある年代の人が多いため、子育ての相談にのってもらえることもあるかもしれません。
すべての提供会員が育児のプロというわけではありませんが、同じ地域の人と交流しつつ、子育てをサポートしてもらえるのは心強いものです。

休日や早朝・夜間の利用が可能で料金が安い

ファミリー・サポートは基本料金が安く、平日であれば1時間当たり500~700円程度の料金で利用できます。
保護者の勤務状況によっては、保育園や幼稚園の登園時間より早く出勤し、降園時間に間に合わないという方にとって便利です。

ファミリー・サポートを利用する際の注意点

ファミリー・サポートを利用するにあたって、注意すべき点があります。
必ず、理解しておかなければならない内容なので、参考にしてみてください。

提供会員の数が少なく予約がとれないことも

依頼する人が増える一方で、全国的に提供会員の数が少なく、自治体によっては予約がとりづらい場合もあります。
加えて、事前の打合せがあるため、提供会員のスケジュールと合わないということもあるでしょう。会員登録をしても、必ずしも利用できるわけではない点に注意が必要です。

ケガや事故は提供会員とで解決しなければならない

ファミリー・サポート・センターでは、不慮の事故に備えて、補償保険に加入しています。
しかし、援助活動中のケガや事故は、あくまで依頼会員と提供会員の当事者間で、問題を解決することになります。とくに、事前打合せにない活動においては、保険が適用されません。

車や自転車の移動をタクシーにしてもらう、食事やおやつは保護者が用意するなど、安全性については依頼する側もできる限りのことを考えておきましょう。

まとめ

ファミリー・サポートは、子育て世代を支援する事業のひとつです。育児をしていて、どうしても子どもを預けたいという時に利用できます。
利用の際には、料金や利用日のサービス内容とともに、注意点についても確認しておきましょう。

この記事の製作者

えんさがそっ♪編集部

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