認証保育園とは?認可保育園との違いやメリット・デメリットを解説
認証保育園は、待機児童の解消や保護者のさまざまなニーズに応えるためにつくられた保育園のひとつです。
しかし、認証保育園をよく知らないという方も多いようです。この記事では、認証保育園とはどのような園なのか、認可保育園との違いやメリット・デメリットについて解説します。
認証保育園とは自治体独自の認証制度による保育施設
認証保育園は、東京都独自の認証制度による保育施設です。都が認証し、保育の実施主体である区市町村とともに指導します。
自治体独自の認証制度による保育施設には、以下のような施設があります。
- 神奈川県横浜市・横浜保育室
- 埼玉県さいたま市・ナーサリールーム、家庭保育室
- 宮城県仙台市・せんだい保育室
- 静岡県浜松市・認証保育園
- 大阪府堺市・認証保育園
認証保育園は認可外保育園に含まれる
認証保育園は、あくまで自治体独自の設置基準を満たした施設であり、国が定める認可基準からは外れるため、認可外保育園に分類されます。
認証保育園と認可保育園の違い
ここでは、認証保育園と認可保育園の違いについて解説します。
認証保育園と認可保育園の違いは、下表の通りです。
認証保育園(東京都) | 認可保育園 | ||
---|---|---|---|
運営事業者 | 民間事業者・個人 | 自治体・民間事業者 | |
施設区分 | A型 | B型 | |
事業目的 | 東京都独自の設置基準のもと、駅前保育所を設置 保育を必要とする子どもに保育をする | 自治体が子育て支援事業計画に基づき設置 「保育の必要性」があると自治体が認定した子どもを保育する |
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対象年齢 | 0〜5歳 | 0〜2歳 | 0〜5歳 0歳児クラスがない園がある |
定員 | 自由設定 (月額3歳未満80,000円・3歳以上77,000円を上限とする) | 同じ自治体内で均一 住民税の所得割の金額 国の定める利用者負担の上限基準 世帯の所得 子どもの年齢・人数 |
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申請先 | 各施設 | 自治体 | |
開所時間 | 13時間 | 11時間 | |
職員 (保育従事職員) | 認可保育園に準ずる 保育士など6割以上が常勤 | 0歳児おおむね3人につき1人以上 1歳児および2歳児おおむね6人につき1人以上 3歳児おおむね20人につき1人以上、 4歳以上児おおむね30人につき1人以上 |
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施設の広さ(0・1歳児) | 3.3平方メートル | 2.5平方メートル | 3.3平方メートル |
保育の必要性認定 | 不要 | 不要 | |
補助金 | 自治体 | 国および自治体 |
事業目的
認証保育園は、事業目的を自由に設定できるため、必ずしも保育の必要性がなくても保育が可能です。認可保育園は、保育の必要性があると自治体が認定した子どもを保育することを目的としている点が異なります。
ただし、認証保育園の場合でも、幼児教育・保育の無償化制度の対象になるためには、保育の必要性認定が必要になります。
申請先
認可保育園は、保護者が自治体の保育課窓口に申請しますが、認証保育園では、自治体を通さず、園に直接申請し、契約を結びます。認証保育園では、申請の際に申込金を必要とする園があるので、各園のホームページや見学の際に確認しましょう。
保育料
認可保育園は、保護者の所得に応じて保育料を設定するため、居住する地域では同じ金額になります。認証保育園は、一定の上限規制のもと、自由に設定できるため園によって金額が異なります。
認証保育園のメリット
認証保育園を利用する側からみたメリットは、主に以下の通りです。
- 保育を必要とする人が誰でも利用可能
- 直接申し込める
- 0歳児保育が義務づけられている
- 13時間の長時間保育が可能
- 駅前設置のため通勤に便利
- 保育内容に独自性がある
保育を必要とする人が誰でも利用可能
認証保育園は、保育を必要とする人全てが、保育の必要度に応じて利用できます。仕事をしている方はもちろん、職場復帰を目指す方、求職中や育児に専念する方など、保護者の立場を問いません。
直接申し込める
認証保育園に直接申し込み、契約を交わすことになります。契約時の重要事項説明書を通して、保育の内容やサービス、施設および事業者の概要、職員体制など詳細に確認することが可能です。
0歳児保育が義務づけられている
全ての認証保育園において、0歳児保育が義務づけられています。産休明けから働きたいという、保護者のニーズに応える形です。東京都中野区を例に挙げると、最も月齢の低いのは生後1ヶ月以上、43日以上、57日以上と続きます。
参考:認証保育園一覧|中野区
13時間の長時間保育が可能
全ての認証保育園において、13時間の開所を基本としています。早朝から夜間まで13時間保育が可能となり、利便性が高いです。
認可保育園では11時間までで、それ以上の保育を必要とする人は、別の施設へ預けなければいけません。
保護者の負担となる、二重保育(保育園のかけもち)を防ぐねらいがあります。
駅前設置のため通勤に便利
都市部は、車を所有せずに交通機関を利用して通勤している保護者が多いです。
認証保育園の多くは、駅近くに設置されているため、通勤時の送迎に便利です。
送迎にかかる時間を短縮させることができます。
主に送迎をする人とそうでない人の両方で、シミュレーションしておくと安心です。
保育内容に独自性がある
独自の保育プログラムを取り入れている園が多く、認証保育園によってさまざまな特徴があります。保護者の教育ニーズに応え、音楽教室や英語、リトミック、体操教室といった幼児教育に力を入れている園もあります。
認証保育園のデメリット
ここでは、制度からみた認証保育園のデメリットを解説します。
デメリットは、主に以下の通りです。
- 保育スペースが狭い・園庭がない
- 認可保育園の方が費用面の負担が軽い
- 0~2歳児までの場合は保活が必要
保育スペースが狭い・園庭がない
認証保育園は駅前設置という特性から、自治体の認証基準を満たしているとはいえ、保育スペースが狭く、園庭がないというケースも少なくありません。
ただ、認証保育園によっては、近くの公園へお散歩したり、室内での身体遊びなど体力づくりを図っている園もあります。
認可保育園の方が費用面の負担が軽い
認可保育園の運営費は、国と自治体による補助金でまかなわれています。
一方で認証保育園は、自治体からの補助金と保育料で運営しています。
認可保育園と認証保育園のどちらも、補助金の対象になっているとはいえ、認証保育園は補助金額が低く抑えられています。
ゆえに、どうしても保育料が高くなり、認可保育園の方が保護者の費用面での負担が軽いといえます。
0~2歳児までの場合は保活が必要
認証保育園には、対象年齢を0歳児から2歳児までとしているケースがあります。
このケースでは、3歳以降の預け先が未定ということです。したがって、3歳以降は別の保育園もしくは幼稚園に預けなければいけません。せっかく入園しても、再度保活する必要があります。
まとめ
認証保育園は、東京都独自の認証制度による保育施設です。東京都以外にも、横浜市や川崎市といった都市部に開設されています。
国の基準を満たす認可保育園とは、事業目的や保育料などに違いがあります。
認可保育園では対応しきれない、保育を必要とする子どもの受け入れや0歳児保育、13時間保育などを実現していることがメリットです。
子どもを預ける保育園のひとつとして、認証保育園も検討してみてください。