私は、今まで40年間幼児教育に携わり、教育の現場で働いて参りましたが、幼少期ほど人の一生を左右する大切な成長の時期はないとつくづく思うのです。特に、人は概ね3~4歳から、9~10歳までに脳の基本が完成すると言われています。詳しく述べると、人間の脳は、概ね9~10歳までに、知性(言語的知能、論理数学的知能)、芸術的能力(音楽的知能、絵画的知能)、運動神経(身体的運動知能、空間的知能)、さらには人間関係能力(社会的知能、感情的知能)の基礎が育まれ、人間はこの頃に動物としての臨界期を迎えると言われています。
幼児教育の理論と長年の経験から、「環境」がその人の能力を大きく左右すると実感していました。以下は、アートのみに限った情操教育のケースです。
リリーの幼稚園や保育園では、以前から昼食の折にクラシック音楽を流していますが、それがきっかけで、後にオーケストラの奏者になった卒園児がいます。また、身体表現活動を保育カリキュラムに取り入れてきましたが、十代で英国の国立オペラハウスのバレー研修生として選ばれた卒園児、劇団四季のスターになった者、宝塚歌劇団に入った卒園児も現れました。無論、卒園児のたゆまぬ努力の賜ですが、情操を育み、能力と感性を高めるカリキュラムの実践を続けてきた私にとって、大きな励みになる顕著な事例となりました。
幼児期に能力の基盤をしっかり形成するための独自の教育プログラムと、その時期に経験してもらいたい様々な体験・感動プログラムによって、子どもたちは様々な能力を開花させていきます。そして、子どもたちの能力の可能性を広げ、ノーベル賞から、一流のアーティスト、アスリートが育つことを合言葉に、私たちは日々の教育に取り組んでいます。