風の子・太陽の子
素晴らしい可能性を秘めた幼児達
人の気持ちを思いやる、優しい心。
困難を乗り越えていく、たくましい精神。
何よりも深く、そして広がりのある豊かな心を、子供達に育てて行きたい。
心も頭も、健やかに育って欲しい。
それは、全ての親の願いであり、幼児教育に携わる全ての人々の共通の思いです。だからこそ私たち保育者は、乳幼児期という人生の一コマのこの臨界期を、理論的に、科学的に、そして具体的に検証し、それを実践に移し、
この切なる願いを実現していきたいと考えます。人生のあらゆる基盤、土台が完成してしまう、大切な時だから…。心・頭・体という、いわば個別の働きが、
実は全て脳の働きによるという事実を考えることから始めます。人間の赤ちゃんの脳は、他の動物に比べて、実に未熟な存在として生まれてきます。
しかし、未熟は劣等を意味するものではありません。むしろ、生まれてからの環境いかんによって、どのようにも育つということであり、それは、霊長としての人間の子供の無限の可能性を、何よりも端的に表しているものです。
未熟だけれど、素晴らしい無限の可能性を秘めた幼児達の脳…。
三つ児の魂を宿す脳ヒトの赤ちゃんは他の動物とは比較にならないほど、未熟に生まれてきます。全てを支配する中枢、脳の未熟……。しかし三つ児の魂が宿る迄に、ヒトの脳は、爆発的とも言える発達を遂げるのです。いのち漲る激しい細胞呼吸とともに、旺盛な興味と好奇心の塊さながら、目で、耳で、鼻で、舌で、膚で、体で、見、聞き、嗅ぎ、嘗め、感じ、確かめ、周りの全てを取り込み、吸収し、記憶する脳。信じられない速さでシナプスが芽を吹き出し、その数、途方もない、天空の星の数を超える10の15乗。
神創造の脳に宿る無限なる小宇宙、その小宇宙全体がダイナミックに三つ児の魂として形成されていく。二百億とも言われる脳細胞の宇宙空間を、縦横無尽に駆け走り、飛び巡り、天翔る、その複雑微妙な配線作業の神秘の爆発!
ビッグバンするダイヤモンドの時。瞬時たりとも休む事なく、生後二千日にして、早や脳神経システムネットワーク網の大方の工事は完了してしまうという
この見えない厳粛な事実。見える人生百年の、見えない土台、根っこが決まる基礎工事の大切な時。周りの大人は、愛の目で、心で、両の手で、環境を整え、援助し、彼の必要を満たし、動機付けをするだけの応援団。三つ児こそ、この工事の施工主であり、主人公。無限の可能性を秘める三つ児の脳も、望ましい発達を遂げ得るよう教育的な環境、配慮がなければ、開くことなく蕾で終わってしまう。ただの石も、偉大な彫刻家にかかると、立派な芸術作品に生まれ変わりますが、彫刻家がその手を措いたそのとたん、彫像の価値は、定まってしまいます。脳の発達の臨界期、ダイヤモンドの時、
三つ児の魂が宿る時…「三つ児の魂百まで」
つくづく、言い得て妙ではありませんか。