理事長 志賀口 大輔
近年、ペリー就学前プロジェクトとかアベセダリアンプロジェクト等の様々な国際的縦断研究から乳幼児期の保育が子どもの将来に積極的な影響を与えることが明らかになりました。それは就学後の学力を向上させるだけでなく、生涯に渡って生活の質そのものを高めていくというのです。
だからこそ大切したい保育の内容。でも待機児童解消の名のもとに増え続ける保育園と、それにともなって多様化する保育(観)。色々あり過ぎて子どもたちにとって何が正しいのかを見極め難くなっているかもしれません。
ただこれだけはハッキリと言えます。小学校教育を前倒した読み書きソロバンは時代遅れだ、と。知識の量とその正確なアウトプットを教育現場が求められたのはもう過去のこと。ググれば、ほとんどのことが調べられるこのご時世で早くから覚えることに、どれだけの意味があるのでしょうか。テクノロジーが更なる進歩を遂げる未来で求められる知識はおそらく量ではなく、その質。つまり意欲的に学ぶ姿勢から始まり、身につけた知識をどの様に使うか、です。
そして、その源泉は非認知能力と言われる目に見えない力の育ちにあります。例えば、「精神的健康」とか「根気強さ」とか「注意深さ」ですが、それらは子どもの自発性を大切にした活動(生活)やじっくりと遊び込む経験、また友だちと遊びをともにするなかで育っていきます。
昔から大切なものは目には見えないと言うけれど私たちが育みたいのは、まさにその目に見えない心のカタチです。豊かな生活と遊び。それしかこだわりはないけれど一人ひとりの子どもと紡ぐ信頼の輪を大切に、人生はじめの第一歩へしっかりと寄り添っていきたいと考えています。