天高く実りの季節を迎え、貴家並びに貴家ご良子におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 また、日頃から宝正幼稚園の教育活動に対しまして深いご理解とご協力をいただき厚く御礼申し上げます。
古来三つ子の魂百までといわれていますように、人間の性格は幼児期にそのほとんどが出来上がるということが 心理学の分野でも証明されてきていることは既にご承知のとおりであり、人間にとって一番大事な時期の教育を担当するのが幼稚園であります。
ところで、世界は今後ますます国際化、価値観の多様化、高齢化等がすすみ、社会の各方面に大きな変化をもたらすであろうことが予測されますが、 これらの問題に直面し、みんなで力を合わせて解決し、力強く明るい社会を築いていかなければならないのは、現在の幼児たちであります。 そのためには、私達大人は今、幼児の中に何を育てるべきでしょうか。
本園はこう考えます。
・自らの発想を持ち、その実現に向かって努力する態度
・周囲の人の心に共感し協力しあおうとする態度
・自らをふりかえり反省と感謝の気持ちを持つこと
これらのことは、人間が本来持っていて、教育のあり方次第で大きく育てることの出来る態度や能力ですが、 いまそのことが幼児を取り巻く環境のなかであまりにも軽視されているようです。
文字、数、外国語、楽器、絵画、スポーツ等の知的、技能的早教育こそが社会のなかで他より上を行くための 一番良い手段であるかのように考えられ、幼児教育もその方向に向かってひた走っているように見受けられますが、このままで良いのでしょうか。
知的教育も大事なことではありますが、人間としての性格形成を目的とする幼稚園教育においては、そのことに目を奪われ、 幼児の気持ちを無視して叱咤激励することばかりでは、上記のようなより大事なことが疎かになってしまい、 幼児の心にその逆のこと(無気力、無関心、無感動等)が根づいてしまうのではないでしょうか。
このことの行き過ぎを是正するために文部省は、別記のように幼稚園教育要領を改訂し、これからの幼稚園教育のあり方を示しています。
本園では、幼児の積極性や、共感し合い・協力し合う心を育てると同時に知的能力や運動能力をより高めるためには、 幼児にとってふさわしい教育的な環境のなかで、仲間と共に自由な発想による自発的な遊びが一番だと考え、 すでに昭和48年より「佐賀あおむしの会」を結成し、幼児の自発的な遊びを中心とする保育に取り組んできました。
そこでは全心身を投げこんで遊び込む幼児の姿の中に、自らの発想があり、創造があり、試行があり、発見、感動、共感、協力、感謝があります。 いつもこどもの心があふれています。
そして、これらの心は一斉的な指導中心の保育では育ちにくいのです。
勿論、そのような活動は、まだ生活経験の少ない幼児を放っておいて実現するものではありません。 幼稚園の保育者は、幼児が成長していく過程を十分に研究し、一人一人の幼児の成長の時期時期において適切な援助をすることに努めています。
いま社会では、そのような遊びを展開できる環境や友達の数がどんどん減少してきて、幼児期にこれらのことを体験する機会が少なすぎるとは思いませんか? 当宝正幼稚園は、幼児にその場を提供いたします。
今一つ大事なことは、心に尊いものをもつ経験です。現在、ますます自然環境の荒廃を引き起こしている社会の事象は、 心に尊いものを持たない人間の驕りにより引き起こされてきていることを考慮しなければなりません。
当宝正幼稚園では、朝と帰りの仏様への挨拶と週一回の本堂礼拝を通して幼児の心に尊いものへの親しみと感謝を育てます。
どうか、お宅の子どもさんが、この後の人生を力強く切り開いていくために当宝正幼稚園をご選択いただきますよう切にお願いいたします。